日本心血管インターベンション治療学会東北支部
メディカルスタッフ部 部会長 堀井 里美
2022年2月より日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)東北支部メディカルスタッフ部会部会長を拝命いたしました。ご高名な諸先生方が執筆する中、大変恐縮ではございますが、ご挨拶申し上げます。
私が心血管インターベンション治療(心カテ)に出会ったのは2005年小児科病棟から放射線科への移動がきっかけでした。言葉も分からない異国に放り出されたような感覚であったことを思い出します。当時、秋田県では佐藤匡也先生が「秋田県PCI研究会」にて、メディカルとメディカルスタッフが同じ内容で学ぶことができる機会を提供してくださいました。日進月歩で進化するカテ治療の情報を得る事や、基礎知識や技術を学ぶのみならず、県内のカテ室の横のつながりを強化するものでありました。その結果、現在でも県内どこの施設で治療を受けても、同じレベルの医療を提供できているとおもいます。
3年後の2008年に第一回目のINE試験があり一期生として資格取得いたしました。資格取得を機に、学会にも参加するようになり、カテ室の横のつながりは東北地方全体に広がりました。2012年当時、支部長でありました佐藤匡也先生が全国に先駆けて「コメディカル部会」を立ち上げてくださり、前部会長の添田信之様とのご縁をいただきました。10年間の添田様の功績は皆様の知るところであり、副会長として一緒に活動できたことは、誇らしく光栄に思います。今後は名誉顧問という頼りになる存在でいてくれることに感謝し、副会長の青木傑様、橋本潤一様、各県代表と幹事の皆様に支えていただきながら頑張っているところでございます。
心カテに出会ってから17年、メディカルスタッフ部会に携わって10年になりました。いつも「今年が最後になるかも知れないから悔いが残らないよう全力で取り組もう」と思っておりました。看護師である以上、勤務異動で放射線科を離れる時がいつ来てもおかしくないと思っておりましたし、実際にINEであっても無関係に異動対象となる仲間を何人も見送りながら、「ここにいる意味」について自問自答してきた年月でもあったように思います。一般的に看護師は、何か特別な活動ができたら学会で発表しようという発想になりがちですが「学会は発表会ではない、白熱した討論がなければ意味がない」という匡也先生の教えから、特別な活躍があった方も勿論ですが、日々の業務に疑問、悩みのある方に積極的に参加していただき、解決のヒントとなるような会でありたいと考えております。
メディカルスタッフ部会では、前支部長の小松宣夫先生はじめ、CVIT専門医であります菅原重生先生、福井昭男先生、佐藤誠先生のご協力のもと、会員を対象とした「基礎教育動画ようこそカテ室へ」の作製を行っており、今後も追加、更新していく予定です。また、現支部長の中里和彦先生に実践的な勉強会の企画について相談しているところでございます。東北支部メディカルスタッフの結束が強いのは、支部の先生方が教育に積極的であることが大きいと感じ感謝しております。基礎的な分野がしっかり確立することで、東北全体のメディカルスタッフの質の向上につながることを願っております。
今後はタスクシフトシェアが絶対的に必要な時代となり、圧倒的医師不足である東北地方では、メディカルスタッフの質の向上が必須であると聞きます。CVITでは質の向上のための研修会が多く設けられておりますが内容は高度なため、そこにたどり着くための基礎的な勉強と、横のつながりが大切であり、地方会の役割のひとつであると思っています。
添田前部会長から継承すべき事は大きく二つあると考えています。
変えてはいけないものとして、患者さんのために、治療の成功のためにチームの一員として、誠実かつ謙虚であること。そして知識、技術は常に更新し、チームとしての質の向上を目指すこと。実り多き活動のために、皆様のお力添えをいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。